椎葉の森クリニック

診療時間
平日
9:00~12:00
14:30~18:00
土曜
9:00~13:00
休診日
水曜・日曜・祝日

肝臓内科・消化器内科・
胆のう・膵臓疾患

肝臓の病気

脂肪肝:脂肪性肝疾患

脂肪肝とは肝臓の細胞に中性脂肪がたまった状態で、脂肪性肝疾患ともよばれます。
脂肪肝の原因はさまざまですが、かつてはお酒の飲みすぎによるものが中心でした。近年ではお酒をあまり飲まない方の脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD)が増えています。
以前は、脂肪肝自体はそれほど心配な病気ではないと考えられていましたが、NAFLDの方の一部は、早ければ数年、多くは十数年で徐々に進行し、肝硬変に進展したり肝臓がんが発生する症例があることが分かってきました。
脂肪肝の方の多くが肥満気味で、高血圧症、脂質代謝異常症、糖尿病などを合併していることが多いため、心臓疾患のリスクも高まります。そのため肝臓だけではなく、総合的な全身管理や生活習慣の改善が必要な疾患とも言えます。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウィルス(HCV)が、肝臓に持続感染することによりおこる病気です。肝臓がんの原因疾患の最も多くを占めます。
最初にウィルスに対して治療ができるようになった頃はインターフェロンという注射によるものでしたが、疾患をもつ方の半分程度にしか効果がありませんでした。しかし、2011年以降飲み薬が開発され、現在では内服薬を3か月服用することで完治が見込めるようになり、治りにくい疾患から完治する可能性が高い疾患に変わってきました。
しかしながら肝炎のウィルスを体から排除できても、肝がんの発生のリスクはゼロにはなりません。そのため、治療終了後も定期的な血液検査と画像検査を受けることがとても大切です。

B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウィルス(HBV)が、血液や体液を介して体内に入り、肝臓に感染して起こる病気です。主に出生時の母子感染と青年期以降の感染があります。感染の時期によって、その後の病気の経過が異なります。

青年期以降で初感染した場合

多くが一過性の肝障害を起こした後、自然治癒に至ります。しかし、近年では慢性化(持続感染)しやすいHBVが日本で増えています。過去に検査をして陰性だったとしても、ライフスタイルの変化によって、知らない間にHBVが持続感染している場合もあるため、心配があるときには血液検査を受けることが大切です。
主な感染経路
  • 性交渉
  • 刺青
  • 不潔な状態でのピアスの穴あけ
  • 医療上の針刺し事故
  • その他

3歳未満の乳幼児期の感染

この時期にHBVに感染するとウィルスが体から排除されず、ほぼ生涯にわたってウィルスの感染が持続する状態になりやすいことがわかっています。持続感染している方(HBVキャリア)の9割近くは、やがてウィルス自体が変異し、肝臓にあまり悪さを起こさない状態になることが知られています。
一方、HBVキャリアの1割程度の方は、慢性の肝機能障害が持続し治療が必要になる場合があります。放置し慢性肝障害が進行すると肝硬変、肝臓がんのリスクが高まります。
HBVキャリアの方の多くが治療を必要とせず、一生を過ごせます。しかし、中にはいつのまにか慢性肝障害が進行していたり、肝がんが発生している場合があります。早期発見が何より重要です。定期的に血液検査と画像検査を受けることが大切です。
主な感染経路
  • 出生時の母子感染
B型肝炎はC型肝炎と違い、感染の予防効果が期待できるワクチンがあります。
乳幼児へは、2016年以降予防接種が定期接種化されました。自費ですが成人接種も推奨されます。
予防接種や生活の工夫で感染を防ぐことが大切です。心配がある場合はご相談ください。

胆石症

胆汁という消化液を溜めておく、袋状の臓器を胆のうと言います。何らかの理由で胆汁が結晶化したものが胆石です。
胆汁は総胆管という管を通して、十二指腸に運ばれます。結石ができる場所によって、同じ結石でも病態が変わってきます。
胆のうという袋の中にとどまっている場合(胆のう結石)の多くは無症状です。無症状の胆のう結石は、手術をせずに経過観察となります。
痛みの発作を繰り返す場合や、細菌が感染して起こる急性胆のう炎を併発するなど、悪さをする胆石は手術の必要があります。
一方、胆のうと十二指腸をつなぐ胆管の中に結石(総胆管結石)ができると無症状でも治療が必要です。結石が十二指腸の出口への狭い部分にはまり込んでしまうと、細菌の感染が急激に悪化する急性化膿性胆管炎や、急性膵炎など命に関わる合併症を併発することがあるからです。
胆のう結石は腹部超音波検査やCT検査で診断が可能です。総胆管結石は、腹部超音波検査やCTだけでは診断がつきにくいことがあります。疑わしい場合はMRIによる検査を行います。
胆のう結石があるからと言って、胆のうがんになりやすいという明確な調査結果はありませんが、年に1、2回の画像検査が推奨されています。
その他、原発性胆汁性胆管炎・自己免疫性肝炎、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害など診療いたしますので、ご相談ください。

消化器の病気

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃内容物が食道へ逆流することによって、食道に炎症がおきる病気です。胸やけや胸痛、酸っぱい液体が口まであがってくる、喉の違和感などの症状や慢性の咳の原因になったりします。胃液が逆流してしまう原因は、胃液が多くなったり、胃と食道のさかい目にある筋肉が緩くなったり、肥満や妊娠などで腹圧があがり胃を外から圧迫してしまうことがあげられます。逆流性食道炎と診断されても、必ずしも治療が必要というわけではありません。日常生活の質がさがるほど強い症状がある場合や、内視鏡検査で食道の炎症が強い場合は治療するメリットが高くなります。食道の炎症が強いと、出血、貧血、食道狭窄(狭くなること)がおきたりすることがあります。また、炎症が長く続くことによって、食道の粘膜が胃の粘膜に変化することがあります。これをバレット粘膜、範囲が広くなったものをバレット食道と言います。バレット食道から食道腺がんが発生することがあります。
逆流性食道炎は治療の必要性のないものから、厳重な経過観察を必要とする場合まで幅が広い疾患です。心配しすぎたり、あるいは油断したりすることが無いように、内視鏡検査による程度の診断や治療適応の判断が大切です。

ヘリコバクター・ピロリ胃炎

ヘリコバクター・ピロリ菌が胃に感染して発生した胃炎のことです。ピロリ菌が胃に長く感染することによって、さまざまな病気が引き起こされることがわかっています。消化器疾患では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、委縮性胃炎、胃がん、過形成性ポリープなどと関係します。胃がんの9割はピロリ感染とされています。除菌治療(胃のピロリ菌をなくすこと)は、ピロリ胃炎に関連する疾患の治療や予防にメリットが高い治療と言えます。飲み薬を7日間内服して治療します。ただし、保険治療の場合は上部内視鏡検査が必須です。健康診断や人間ドックの内視鏡検査で指摘された場合は、除菌治療は保険適応となります。ただし、除菌が成功しても胃がんが完全に予防できるわけではないため、治療後も定期的な内視鏡検査を受けることが大切です。

機能性消化管疾患

腹痛などの消化器症状があるにも拘わらず、内視鏡検査などで炎症やがんなどの器質的疾患を認めないものを機能的消化管疾患と呼び、機能性デイスペシア、過敏性胃腸症候群などが代表的疾患です。簡単にいうと、胃や腸の動きの調節が不調をきたし、それが長く続いた状態です。直接生命をおびやかす疾患ではありませんが、症状によっては日常生活の質が低下してしまうことがあります。消化器内科を受診する3割の人が過敏性胃腸症候群という調査結果もあるくらい、日常よく目にする疾患です。治療は胃や腸のお薬以外に、不安をとる薬を併用することで症状が軽快することがあります。また漢方薬なども治療の選択肢の一つです。症状が同じでも、人によってお薬の効果が違います。主治医の先生とよく相談しながら、症状の緩和をはかっていくことも大切です。

胆のう・膵臓の病気

胆のうポリープ

現在増えている胆のうの病気の一つに、胆のうポリープがあります。
胆のうポリープとは、胆のうの内壁が盛り上がった病変のことをいいます。その90%以上はコレステロールポリープと言って良性のポリープです。
しかし、中にはがん化しやすいポリープが混在している場合があります。胆のうポリープは胃や腸のポリープと違い、組織を採取して癌かどうかを検査することができません。
腹部超音波検査やCT検査などで定期的な検査を行い、ポリープの大きさや形状の変化を診ていくことが大切です。

急性膵炎

膵臓はタンパク質の消化を促す、膵液という消化液を分泌しています。通常は膵液によって膵臓自身が消化されることはありませんが、何らかの原因で膵液の分泌が高まると、膵臓自身が消化されはじめます。これが急性膵炎です。
原因がはっきりしないことが多いですが、男性ではアルコールの多飲、女性では総胆管結石によるものが最多です。他には、脂肪の摂りすぎ、高中性脂肪血症があげられます。
急性膵炎になると原則入院が必要です。重症化すると命に関わることがあります。原因が不明の場合も多いのですが、アルコールを飲みすぎない、脂肪分の多い食事を大量に摂取しないなど、膵臓に負担をかけないことが予防には大切です。

慢性膵炎

慢性膵炎は、長い時間をかけて膵臓の細胞が破壊されて、膵臓のはたらきが失われていく病気です。
名前は似ていますが、急性膵炎とは異なり、初期には診断が難しい病気です。なぜなら、かなり進行しないと画像検査や血液検査をしても所見がみられないことがしばしばあるからです。
原因の60%がアルコールの過剰摂取と言われています。お酒を大量に飲む人で、原因不明の背部痛、上腹部痛、下痢などの症状が続く場合には注意が必要です。進行すると、消化吸収がうまくいかなくなり体重減少が起きたり、インスリンという血糖を下げるホルモンの分泌が低下し糖尿病になることがあります。
早急に命に関わるわけではありませんが、進行すれば生活の質が大きく低下します。早い段階で病気の可能性を考え、禁酒や生活習慣を改善して病気の進行を予防することが大切です。

WEB予約